年頭所感

一般社団法人 日本テキスタイルケア協会

代表理事 住連木 政司

住連木代表理事

 当協会は創設七年目を迎えます。当協会の目的は、アパレル、流通、クリーニング、消費者との情報交流の基盤づくりを実現することによって、国民の服飾文化をサポートすることにあります。

 本年は、既存のクリーニング業には当たらないと経済産業省及び厚生労働省が認定した「整形仕上げ」に関するオフィシャルテキスの制作と研修制度及び協会認定整形仕上管理士制度を発足します。協会正規の教材を作成することによって、テキスタイルケア業というクリーニング業とは分離した「繊維製品の品質維持・復元技法に係る取扱い」事業の具体的な実現を推進していきます。

 バブル経済崩壊後、クリーニング業は衰退を続けてきました。これは、社会的存在意義が失われているという事実を意味しています。しかしこの間、抜本的な産業構造に対する革新を遂行することは行われず、既存の事業形態の維持にしがみついてきたと言えます。接客技術や経営手法改善といった既存の業態の範囲での処置は、沈みかけた船の中で穴の空いたバケツで水を汲み出し続けているように見えます。沈没の先延ばしにほかならない行為であると言えるのではないでしょうか。今取り組まなければならないことは、沈没しそうなこの船から、社会的に価値のある素材を選び抜き新しい船を建造することであると言えます。この産業が持つ社会的に価値ある素材とは、専門技術です。バブル経済崩壊後、生き延びてきた主役は、家事代行として低価格で利便性の高いサービスに徹した企業であるという事実と、特殊な専門技術を適正対価で提供する少数の個人事業者でした。

 「工業化できない作業は産業として成立しない」という言葉があります。 この産業を復興に導くものは特殊な専門技術を工業化することによって、適正対価で社会全体に消費者利益を提供する新たなビジネスモデルの創出にあります。このための新たな産業イメージを提案し、本協会の思想の具現化に努めてまいります。

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