日本公庫の景気動向等調査結果(2019年10~12月期)

日本政策金融公庫は2019年10~12月期の生活衛生関係営業の景気動向等調査結果を発表した。

2019年12月上旬に生活衛生関係営業の9業種3,290企業を対象に行われ、有効回答のうちクリーニング業は261企業。クリーニング業について、その結果をみてみたい。

業況判断DI
業況判断DI ▲20.3
売上DI ▲31.0
採算DI ▲14.6
利用客数DI ▲41.4
客単価DI ▲26.8
  • 業況判断DI=前期対比「業況好転」企業割合-「業況悪化」企業割合
  • 売上DI=前年同期対比「売上増加」企業割合-「売上減少」企業割合
  • 採算DI=当該期「黒字」企業割合-「赤字」企業割合
  • 利用客数DI=前年同期対比「利用客数増加」企業割合-「利用客数減少」企業割合
  • 客単価DI=前年同期対比「客単価上昇」企業割合-「客単価低下」企業割合
設備投資の動向
設備投資の実施状況 18.4%
来期の設備投資実施予定 9.6%
経営上の問題点(複数回答)
顧客数の減少 56.7%
仕入価格・人件費等の上昇を価格に転嫁困難 38.7%
客単価の低下 32.2%
店舗施設の狭隘・老朽化 21.1%
従業員の確保難 10.3%
後継者難 7.7%
事業資金借入難 1.9%
その他 3.8%
特に問題なし 6.5%
地域の特徴的な動き

【茨城県】業況:悪化

消費税アップによる消費の冷え込みと、台風15号・19号や暖冬などの影響で秋物の衣替え需要が少なく、厳しさが増している。

【高知県】業況:悪化

消費税増税で節約志向が高まり、ワイシャツなどは家庭で洗濯し、毛布やカーペットもコインランドリーを利用するようになっている。

経営取り組み事例

【北海道】

保育園3か所からおむつカバーの洗濯を受注。単価が高く他社の参入も少ないので、今後受注先の拡大が期待できる。

【山形県】

キャッシュレス決済に対応し、国の5%ポイント還元事業に参加。周辺の同業で取扱店が少ないことから、他店から流れてきた新規客の獲得にも繋がっている。

【埼玉県】

介護施設のクリーニングを始めたことで、年間を通じて安定した収入を確保。また、ホームページを開設して3年程が経過するが、コンテンツの見直しなどで飽きさせないようにしている。

【石川県】

しみ抜きや鞄・靴のクリーニング、高級ブランドの毛皮コートなど特殊品が扱えるクリーニング店として、客単価の向上を目指している。

【福岡県】

業界では希少な殺菌消毒効果のある最新鋭マシンを導入した。従来の機械より、素材本来の柔らかさと、清潔さを消費者が実感できる機能を有している。まだ認知度は低いが、長い目で他店との差別化をPRしていく。