日本公庫の景気動向等調査結果(2020年1~3月期)

日本政策金融公庫は2020年1~3月期の生活衛生関係営業の景気動向等調査結果を発表した。

2020年2月中旬に生活衛生関係営業の9業種3,290企業を対象に行われ、有効回答のうちクリーニング業は264企業。クリーニング業について、その結果をみてみたい。

業況判断DI
業況判断DI ▲56.4
売上DI ▲39.0
採算DI ▲34.8
利用客数DI ▲47.3
客単価DI ▲37.1
  • 業況判断DI=前期対比「業況好転」企業割合-「業況悪化」企業割合
  • 売上DI=前年同期対比「売上増加」企業割合-「売上減少」企業割合
  • 採算DI=当該期「黒字」企業割合-「赤字」企業割合
  • 利用客数DI=前年同期対比「利用客数増加」企業割合-「利用客数減少」企業割合
  • 客単価DI=前年同期対比「客単価上昇」企業割合-「客単価低下」企業割合
設備投資の動向
設備投資の実施状況 15.9
来期の設備投資実施予定 9.5%
経営上の問題点(複数回答)
顧客数の減少 63.3%
仕入価格・人件費等の上昇を価格に転嫁困難 34.1%
客単価の低下 31.8%
店舗施設の狭隘・老朽化 20.1%
従業員の確保難 9.1%
後継者難 5.3%
事業資金借入難 1.5%
その他 3.4%
特に問題なし 8.3%
地域の特徴的な動き

【宮城県】業況:不変

固定客を対象としている業務用の集配は一定数量確保できているが、家庭用は暖冬が続いており、ダウンやオーバーコート等の冬物の動きが悪い。

【神奈川県】業況:悪化

ホテル関係のリネンを取り扱っているが、インバウンド宿泊の減少で客室稼働率が低下していることから洗濯量は少ない。

【福井県】業況:悪化

暖冬で積雪もほとんどなくダウンや厚手コート等を着用する機会が少なかったことから、冬物衣料の洗濯点数・品目・単価ともに例年ほどは期待できない。

【長崎県】業況:不変

暖冬の影響で、冬物アウターのクリーニングが減ったが、前年より、冬物の中間洗いを勧めている分、セーター類の売上が伸びた。

【沖縄県】業況:不変

新型コロナウイルスの感染拡大で観光宿泊客が減少している影響から、業務用のリネン関連の受注が減っている。個人向けも地域的に衣替え需要は少なく、現状維持が精一杯である。

経営取り組み事例

【山形県】

キャッシュレス対応の機種を増やし利便性を高めた。技術面では、仕上がりの点検を徹底し、小さなシミや綻びなども見落とさず、シミ抜きもリーズナブル価格を設定。毛玉取りはサービスで対応し、仕上がりの奇麗さが支持されている。

【埼玉県】

組合主導でキャッシュレス化に取組んだ結果、導入コストやランニングコストの削減ができ、新規集客とレジ回り等の効率化にも貢献できている。

【千葉県】

スニーカー等の靴やカバンなどの洗濯技術を習得するとともに、サーファー向けにウェットスーツの洗いや修理、保管にも新しく取り組んだ。

【滋賀県】

人手確保のため、在日外国人の求人を現在登録しているほか、廃業する同業者の従業員も積極的に受け入れている。廃業の情報が入れば、その店舗に出向き、再就職先として紹介してもらうことが雇用を守るうえでも重要と考えている。

【岡山県】

クリーニング業は季節に左右される傾向があり、年間で安定した受注が確保できる業務用の作業服や白衣、制服などの産業クリーニングに転換した。

共栄産業