日本公庫の景気動向等調査結果(2020年4~6月期)

日本政策金融公庫は2020年4~6月期の生活衛生関係営業の景気動向等調査結果を発表した。

2020年6月中旬に生活衛生関係営業の9業種3,290企業を対象に行われ、有効回答のうちクリーニング業は259企業。クリーニング業について、その結果をみてみたい。

業況判断DI
業況判断DI ▲74.1
売上DI ▲80.7
採算DI ▲49.8
利用客数DI ▲87.6
客単価DI ▲67.6
  • 業況判断DI=前期対比「業況好転」企業割合-「業況悪化」企業割合
  • 売上DI=前年同期対比「売上増加」企業割合-「売上減少」企業割合
  • 採算DI=当該期「黒字」企業割合-「赤字」企業割合
  • 利用客数DI=前年同期対比「利用客数増加」企業割合-「利用客数減少」企業割合
  • 客単価DI=前年同期対比「客単価上昇」企業割合-「客単価低下」企業割合
設備投資の動向
設備投資の実施状況 13.5
来期の設備投資実施予定 9.3%
経営上の問題点(複数回答)
顧客数の減少 78.4%
仕入価格・人件費等の上昇を価格に転嫁困難 13.1%
客単価の低下 42.5%
店舗施設の狭隘・老朽化 13.9%
従業員の確保難 4.2%
後継者難 3.9%
事業資金借入難 3.5%
その他 16.6%
特に問題なし 3.5%
業況判断理由

【秋田県】業況:悪化(来期)

地域の夏祭りやイベント行事が中止され、見込んでいた法被や浴衣等の季節性の洗濯需要が皆無になっている。在宅勤務も増えワイシャツやブラウス、スーツ等の店頭持込みも減ったままである。

【埼玉県】業況:不変(今期)

感染対策で業務用の需要が増え、ユニフォーム等の衣料やカーテン・クロス等の洗濯サイクルが短くなっている個人向けも外出自粛の影響はあるが、冬物の衣替え需要は安定している。

【千葉県】業況:悪化(今期)

2月からの新型コロナウイルスの感染拡大や営業自粛により、来店客が減少した。今期は衣替え需要の繁忙期であるが、感染への不安から店頭への持込みが減り、法人取引先も休業やテレワークに推進でユニフォーム類の洗濯需要が減ったままである。

【静岡県】業況:悪化(今期)

取引先の営業休業によりホテルや飲食店関係の仕事がゼロになってしまった。元に戻るにはしばらく時間がかかると思う。

【京都府】業況:悪化(今期)

取引先のホテルの休館やリゾート施設への宿泊客も減り、寝具類やテーブルクロス、ユニフォーム等の業務用がほぼなくなった。

【鳥取県】業況:悪化(来期)

コロナ禍で夏祭りや花火大会など地域のイベント開催が中止になり、季節性の浴衣や法被、ユニフォームなどの洗濯需要が期待できなくなった。

【広島県】業況:悪化(今期)

新型コロナウイルスの感染防止で外出自粛や在宅勤務が浸透したことで、ワイシャツ・スーツなどの需要がなく、かなり厳しい。

【佐賀県】業況:悪化(来期)

地域の花火大会や盆踊り等の夏祭り開催が中止されることから、浴衣や法被など季節性需要がまったく期待できなくなった。

【沖縄県】業況:悪化(今期)

外出の自粛、イベント等(卒業式、入学式、その他のイベント等)が全て中止となりフォーマル衣装等の受付がなくなり又ホテルと提携のリネンもなくなった。

経営取り組み事例

【青森県】

お客様の支払方法の利便性向上と、現金受渡しの接触感染を防ぐため、2月からスマホQR決済を導入したが、利用者からは好評で、キャッシュレス決済の経験がないお客様にも勧め喜ばれている。

【東京都】

外出自粛の要請がでてからは、閉店後にお客様一軒一軒を訪問し、仕上がった品物を届けるサービスを始めた。手間暇はかかるが、お客様に喜ばれ、新たな洗濯需要も確保できている。

【新潟県】

新たな顧客獲得のため取次店を増設するとともに、お客様含め店内でのマスク着用、対面カウンターに飛沫対策用アクリル板と手指アルコール消毒の設置、キャッシュレス決済の奨励など、対応できる感染防止策も徹底。

【鳥取県】

営業自粛で同業者の休業が続くなかで、介護施設のバスタオルやフェイスタオルの新規受注を確保できた。感染防止策として対面カウンターでの飛沫・接触感染予防のため、電子マネーとクレジットカードの支払を推奨するためキャッシュレス決済を導入した。

【鳥取県】

店頭対面での感染防止策として、ICTを利用した宅配クリーニングを開始した。受取日時と配達日時が予約制なので、お客様の利便と店舗の作業効率が高まるメリットが得られる。

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