年頭所感

一般社団法人 日本テキスタイルケア協会

代表理事 住連木 政司

住連木代表理事

 当協会は創設10年目を迎えます。その目的は、「繊維製品の品質維持・復元技法」によって服飾文化に貢献するという未来志向の新産業の創造を提唱するものです。

 1970年代以降、日本の経済成長とともに、ファッション文化は急激に多様化し、その素材や加工も科学技術の進歩を取り入れながら劇的に変化してきました。このような新しい素材や加工の開発は、従来のクリーニング工程では対応できないケースを生み、多くはクリーニングトラブルとしてとらえられていました。クリーニング業が、1980年代以降「クレーム産業」という汚名で呼ばれたり、業界側では「不良衣料追放」といった運動を生み出したりしました。

 このような状況に対して、時代の変化に否定的に対応するのではなく、繊維製品の素材や加工の実情を学び、対応する「繊維製品の品質維持・復元技法」を習得しようという機運も高まり、多くの研修活動が開催されるようになりました。

 しかし、このようなクリーニング事業者の技術的な成果は、社会的に正当な評価を得られないままに、産業全体は衰退縮小しているという現実があります。根本的な問題点はこの業が、家事としての洗たくをサポートする生活衛生サービスとしての従来の産業イメージに封じ込められていることにあり、専門知識産業としての社会認知を得られないことにあるとして、当協会はテキスタイルケア産業の創業を提唱してきたのです。

 昨年から、環境省、消費者庁では「サステナブルファッション」というキーワードを前面に立て、繊維製品の大量消費が地球環境破壊の大きな要因であることを広く知らせる活動を開始しました。良質な服飾製品をクリーニングとテキスタイルケアによって品質維持・復元することによって、持続可能な服飾文化を形成することが求められています。

 今こそ、「サステナブルファッション」の旗手として社会にその存在意義をアピールすべき時代が到来しているといえるでしょう。

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