異業種とのコラボレーション
第5回 コイン洗車場(前編)

「コラボレーション」とは互いの能力を引き出して今までにない作品を創り出すなど、お互いに響き合って共同作業・業務協力することを意味します。
先回まではコラボ企画の相手先として「ガソリンスタンド」「スーパーマーケット」の事例をご説明しました。今回は、おおよそクリーニング業とは結びつきそうもない業種「コイン洗車場」とのコラボ企画をご紹介します。

皆さんご存知のコイン洗車場は、自動的にクルマを洗いワックス掛けまでしてくれるガソリンスタンドの洗車機とは対極にあります。自分でクルマを洗車スペースに置いて操作盤にお金を投入すると、料金に応じた時間や量だけ高圧ノズルから水・洗剤を出してくれます。
汚れに応じて、また自分がキレイにしたい部分を好きなように洗車する。洗車後は空きスペースで水分をふき取り、お気に入りのワックスで仕上げる。すべて自分で行うので「セルフ洗車場」と呼ばれる場合もあります。
このコイン洗車場は30年ほど前に流行りだしたビジネスです。当時はその影響か、私が大卒で入社した産業機器メーカーは洗車機製造が斜陽部門となっていました。

コイン洗車場ビジネスは基本的に無人で手間がかかりません。オーナーは利便性と広告効果の高いロードサイドに土地を用意して洗車装置・洗車スペースを設備すれば収益が見込めます。ランニングコストは洗車機設備のリース料と電気代・水道代のユーティリティ、地代程度。これだけのクルマ社会ですから、さぞかし儲かる・・・と思いきや、現実には厳しい経営を強いられる地域や立地もあります。

主な理由は、

  1. 利用者は洗車のみが多く、ワックス等の消耗品を持参。中には付帯する水汲み場の水で洗車している猛者も。
  2. 利用者の週間変動が大きい。特に土・日曜日に集中する。
  3. ワックスの耐久性向上や景気低迷で利用頻度が減り、競業するガソリンスタンドの洗車料金が安価になった。

上記に加えて市街地では地代が高く、最近ではコインパーキングのほうが目立っています。また、郊外型のコイン洗車場では利用者数・利用頻度が減り、設備稼働率が低いと洗車設備のリース料が重荷になるケースも。

一方、クリーニング業も新規出店の場所決めに苦労しています。高度成長期やバブル景気の頃でしたら(出店)=(利益)が成り立ちましたが、昨今は出店の初期投資コストをできるだけ抑えなければ、後に投資コストが回収できなくなりました。

それならば・・・と郊外に出店すれば、損益分岐点ギリギリの営業リスクが。ショッピングストアの駐車場や複合商業施設のインショップ出店は、本体の営業不振が大きく影響します。

そこで、「コイン洗車場の余剰スペースを借用してクリーニング店舗をつくろう!」というアイデアが生まれました。次回、実際にコラボして営業実績を上げているクリーニング店をご紹介いたします。

コラボ

ブルースパイス