技術ノート
第8回 意外と忘れているオイルシールの使い方

オイルシールの使い方は、簡単なようで意外な落とし穴も多いものです。オイルシールの形状、種類は JIS B 2402で決められていますが、色々種類も多く、悩む事も多いものです。応用編は先輩に相談しても恥ずかしくないと思いますが、しかし何といっても基本が命...。

オイルシールは油は入っている部分にシャフトを通した時、油を外に漏らさない様に考えられたものです。シャフトの回転する所に使うケースの他、ショックアブソーバのようにシャフトが往復動作する所に使うものがあります。
オイルシールと表現する場合、ほとんど焼き付け型の事を指します。これとは区別し、シールリングと呼ばれるGS型、ZF型、フエルトシールが有ります。時にはVリングも含めて表現するケースがあります。

オイルシールは市販品で安価です(でもゴムの材質がフッソ製のものはギョギョ高~い)。
メーカ間の性能差もほとんどありません。基本をレビューしてうまく使いましょう...。

■一般的なオイルシールの寿命

概念的には長いと評価されています。
しかし、寿命を構成する因子はかなりあり、ひとつ間違えると、ことのほか短寿命に終わります。

因子の数々

シール部位の"周速は"8~16m/sで意外と高速まで対応します。
オイルシールのタイプによって許容周速に差はありますが、経験的に言えば上限値の10%以下がベターです。
あるメーカの説明によれば、摺動摩擦による発熱量で周速、耐熱性を判断しているとの事でした。

シール面の加工は重要で"規則性のない研磨"が要求されます。
研磨の程度も重要でコストが掛かっても、この部分は慎重に考慮して下さい。

変身..間違えました"偏心(軸の振れ)"も寿命に深刻に影響します。
オイルシールは"しめ代"を持っています。しめ代や、しめ付け力を多くしてもシール性は良くなりません。むしろ"摩耗を促進する"だけで意味がありません。
偏心も同様で必要のない、しめ代や、しめ付け力のを使う事になり早期にシール性が低下します。

必ず考慮すべき点として"潤滑"があります。潤滑のないシールは短期間に摩耗し、シール性がなくなります。
オイル潤滑がベストです。グリースでも可能ですが、リップにいつもグリースが回るよう配慮が必要です。

意外と気の付かないのが"内部圧力"です。0.3kg/cm2が通常最大です。温度変化も考慮し、必ず実測して確認します。

寿命を考えていたら、注意点は概ね出たようです。

一見難しそうですが、はい難しいです...比較的精度良く機械加工されている所に取り付けた場合、 安価でほとんど漏れのないものが出来上がります。

■おまけ

フェルトシールはグリースのシールを目的としているので、シール性はあまり"期待出来ません"。
ラフに使用出来て、安価、簡単に取り付け可能で、振動にも割に強いが"寿命は短く"、低周速にしか使用できません。

オイルシールは色々な応用例が報告されていますが"理屈抜き"の部分は失敗原因となります。
充分注意しましょう。

バナー広告案内